厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」で、障害者雇用率制度等についての論点が示されています。
企業や公共団体は、障害者雇用率制度によって、一定の割合以上の障害者を雇用することが義務付けられています。障害者雇用促進法上の雇用義務の「対象障害者」は、原則として身体障害者、知的障害者または精神障害者で、障害者手帳の所持者に限られていますが、制度の対象外である「手帳を持たない難病患者」を障害者雇用率制度の対象にすべきかが論点として示されました。
2024年の高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査結果では、「手帳を申請し不認定の者」は少数ではあるものの、「手帳所持者」と同等以上に、「就職活動場面」「職場適応や就業継続場面」における困難性を有している者が多い傾向があり、不認定となった場合であっても、必ずしも、職業生活における制限が小さいとはいえない、との分析がなされています。
そこで、本人からの申請により、医師の意見書等も勘案しながら、個別の就労困難性(職業生活への「制限」の程度)を判定し、一定水準にある場合、まずは、実雇用率において一定の算定を可能とし、施行状況を見ながら雇用義務の在り方を検討していく、という論点が示されています。
個別の就労困難性の判定基準の検討は、疾患による自己管理(休憩、服薬等)の必要性、疲れやすさや体調の不安定性等による仕事内容や働き方の制約や、通勤の困難性など、一定の就労困難性を参考としつつ、対象範囲の公正・一律性が確保できるような内容としていくことが必要ともしています。
実雇用率における算定は、他の障害種別への影響が生じないようにする観点から、施行日以後の採用者を算入可とする、事業主単位の上限を設ける等の方策を検討することも考えられるのではないか、ともしています。
厚生労働省は対象者となる場合の具体的な基準等について議論したうえで、2027年をめどに障害者雇用促進法など関連法の改正を目指しています。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック